参院選の最大の争点に浮上した消費税増税について、
菅直人首相が発言をトーンダウンするなど民主党が「争点隠し」に躍起となっている。
「消費税率10%」に言及した首相の発言後、世論調査で内閣支持率が下落し参院選への影響が出始めているためだ。 「私は(各党に消費税の議論を)呼びかけると申し上げたが、皆さんが書いている見出しだけ読むと書いていない。もうちょっと正確に言ってほしい」 菅首相はカナダ・トロントでの同行記者団との懇談で報道に八つ当たりした。 消費税増税論議を参院選で掲げようとしたのは首相自身だが、フジテレビ「新報道2001」の24日調査でも支持率は46・8%と5割を割り込み、1週間前と比べ6・4ポイント下がるなど影響は如実に出ている。
民主党の菅首相グループに所属する東京選挙区候補の27日の街頭演説では、こんな発言も飛び出した。
「 参院選は 消費税が争点ではない。
争点になるなら 次の衆院選だ。
参院選は政治行政の改革を民主党にやれ ということを表していただく選挙だ」
この候補の応援に駆けつけた枝野幸男幹事長も消費税に触れることはなかった。
最近、枝野氏が街頭演説などで直接「消費税」の文言に言及することはほとんどない。
◇山口那津男・公明党代表 26日、千葉県船橋市での街頭演説で
菅直人首相は「(消費税を)増税しても、使い方を間違えなければ景気は良くなる」と言っていた。 しかし、米国の学者も日本の学者も、消費が冷え込んで景気が悪くなることは はっきりしていると言っている。
過去に 経験がある。
あの 自社さ政権の 1997年、
消費税を 3%から 5%に上げた。
たちまち 景気が 悪くなった ではないか。
その(引き上げを決めた)政権にいたのが菅首相だ。
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■ 消費税あらためて前面に 首相と小沢氏、対立鮮明 2010年7月1日 朝日
http://www2.asahi.com/senkyo2010/news/TKY201007010003.html
カナダから帰国した菅直人首相(民主党代表)は、参院選遊説を再開して早々、税率引き上げ時の負担軽減策など消費税問題を改めて前面に出した。一方、小沢一郎前幹事長は、増税を否定した昨年の衆院選マニフェストを執行部が見直したことについて批判。二人は、改選数1の「1人区」に照準を合わせるという選挙戦略では共通するが、政策面での意見の違いは鮮明になってきた。
◇
「消費税の話をせずに済むのなら話をしないまま選挙に入りたいと思った。しかし、選挙が終わってから『いや、実は』なんて言ったら、やはりおかしいじゃないですか」
菅首相は30日、青森市の街頭演説でこう語り、改めて選挙後の超党派協議を呼びかけた。山形市の演説では、自民党がマニフェストに「消費税10%」を掲げたことを「谷垣(禎一)さんはなかなか勇気がある」と評価。参院選後に「自民党とも場合によっては公明党や新しくできた党とも話し合おう」と強調した。
首相はG8サミット出席のため訪問したカナダで26日、ムダ削減を財政再建の「第一の柱」に据える考えを表明していたが、30日は消費税を改めて演説の中心に据えた。
首相は帰国直後の29日未明、首相公邸で仙谷由人官房長官や安住淳選挙対策委員長と参院選対策を協議。29ある「1人区」のうち民主、自民両党の候補者が競り合う東北、北陸、中国・四国、九州など9選挙区程度を重点選挙区と決めた。30日の青森、秋田、山形を皮切りに7月1日以降も1人区行脚を続ける予定だ。
参院選の情勢について、民主党内では「追い風でも向かい風でもないつむじ風選挙。どう転ぶのかわからない」(選対幹部)との見方が強い。それだけに、首相や枝野幸男幹事長らの発言には敏感になっている。安住氏は主要国首脳会議(G8)出席中の首相にわざわざ電話をかけ、「外遊中の発言は慎重にお願いします」と念押しした。
ただ、首相は消費税発言を引っ込める様子はうかがえない。
30日の遊説でも、低所得層の負担軽減策として対象となる年収基準にまで踏み込んだ。向こうっ気の強い首相の性格に、周辺は「消費税に限らず、言わなくてもいいことまで言う」と語る。
一方、持論を引っ込めないのは小沢氏も同じだ。この日は宮城県の山間地にある七ケ宿町を訪ねた。町内の公民館前に集まった約30人の住民を前に、「今まで皆さんに約束してきたことを実行しないと駄目だ」と力説。首相の「消費税10%」発言やマニフェストの変更を念頭に、民主党政権の路線変更は認められないと訴えた。
枝野氏が小沢氏の発言を「無責任な大衆迎合」と批判したことにも反発。「党内でも『余計なことを言うな』と煙たがられているが、政治家の責任として正しいことは正しいと主張しなければならない。それが役目だ」と語り、一歩も引かない構えだ。
枝野氏も30日、「一度決めたことだからと硬直的にやれば、結果として国民にご迷惑をおかけする」と強調した。 党内で意見が割れている状況に、党内からは嘆き声も上がる。参院選改選組の一人は「いい加減にしてほしい。民主党の内輪もめだと取り上げられ、無党派層が離れるだけだ」と指摘している。
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■ 消費税引き上げ、賛否伯仲…読売ネット調査 2010年6月30日 読売
http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/2010/news2/20100630-OYT1T00975.htm
読売新聞社が30日にまとめた「参院選ネットモニター」の第4回調査で、比例選での投票先に民主党をあげている人のうち、消費税率引き上げに63%が賛成、37%が反対していることがわかった。
自民党に投票するとした人も60%が賛成、40%が反対だった。消費税率の引き上げに前向きな姿勢を示す2大政党の支持者の中に賛成派、反対派が混在する形だ。
一方、消費税増税に批判的なみんなの党に投票するとした人の中でも、引き上げ賛成48%、反対52%と賛否がほぼ拮抗(きっこう)していた。モニター全体の消費税率引き上げに対する賛否は「賛成」と「反対」がともに50%で、ほぼこの割合と重なっている。現段階で、消費税に対する態度と投票先についての強い関連性は見られなかった。
調査を監修している明治学院大の川上和久副学長は、消費税を巡る今後の論戦に関し、「各党が消費税の議論を避ければ、有権者は税率引き上げについてあいまいな判断基準で投票せざるを得ない。有権者が1票に何を託したのか見えにくくなる」と話している。
第4回調査は6月25~29日に1000人のモニターに対し実施し、回答率は93%だった。結果の詳細は、読売新聞のホームページ「ヨミウリ・オンライン」(http://www.yomiuri.co.jp/)の「Do選挙」で1日午前に公開する。
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■ 消費税論議、引かぬ首相 内閣府「15%必要」試算も 2010年7月3日 産経
http://www.asahi.com/politics/update/0702/TKY201007020666.html
菅直人首相が民主党内の反発にもかかわらず、参院選で消費税論議を提起し続けているのはなぜか。実は内閣府が選挙前、2020年度までの財政健全化という内閣の目標達成のためには、消費税率を段階的に15%まで引き上げる必要があるとの試算をまとめていた。では首相は、増税分の使いみちや、所得が少ない人の負担軽減策をどう考えているのだろうか。
菅首相は6月17日、自民党がマニフェストに書いた「当面10%」を参考にする方針を打ち出した。ある閣僚は「自民党に抱きついたということだ。同じ数字を掲げれば、選びようがない」と話す。
争点つぶしが狙いだったが、このときすでに首相の手元には、10%では不十分という試算が届いていた。
政府関係者によると、6月8日の菅内閣の発足後、内閣府の政務三役が事務方に試算するよう指示していた。
菅内閣は、22日に閣議決定した「財政運営戦略」で、国債の元利払いを除いた単年度の支出を借金なしでまかなう「基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化」を、20年度までに達成する目標を掲げた。
内閣府の試算では、目標達成のためには、12年度から消費税を毎年2%幅ずつ15%まで引き上げる必要があるという結果だった。衆院任期満了後の14年度からの消費増税では間に合わないという見通しは、首相が次回の総選挙を待つことなく消費税論議を掲げる一因となったようだ。
増税分の使い道について、首相はどう考えているのか。
消費税は、基礎年金、老人医療、介護の3分野の社会保障費に充てることが予算総則で決められている。10年度予算で16.6兆円に上る3分野の支出のうち、消費税でまかなえるのは6.8兆円に過ぎない。残りは消費税以外の税収や国債などで穴埋めしている状態だ。さらに少子高齢化で、社会保障費は毎年1兆円の増加が見込まれている。
首相は18日、「新しい税率の消費税で、ほぼまかなえるようになる」と述べ、10%に引き上げた場合の12兆円超の増収分を、原則として社会保障費に充てる考えを表明した。
さらに7月1日には、介護分野の雇用創出などに1兆円程度を充てる考えも示した。街頭演説では、介護報酬を引き上げれば雇用が拡大して、経済成長につながるという持論を繰り返し強調している。
消費税は、低所得者の負担感が増す「逆進性」が強い。 首相は、年収が低い人に税金分を還付する方式と、食料品などの生活必需品にかかる消費税率を低く抑える軽減税率の導入に言及している。
だが、これらをどう組み合わせるのか、しっかりした制度設計に基づいて発言しているわけではなさそうだ。年収水準については6月30日の演説で「年収200万円とか300万円とか」「年収300万とか350万円以下」「例えば年収300万円、400万円以下」と発言のたびに水準を上げていった。
年収400万円未満の世帯に軽減策を実施すると、増税分がほとんどなくなる可能性もある。財務省幹部は、官邸スタッフらを通じて具体的な数字や制度像を言わないよう首相に働きかけた。首相も7月2日、富山市内の演説では「所得の低い人たちに対する手当てをどうするか、今年度中に政府税調で方向性を出しますが、野党のみなさんとも議論を進めたい」と慎重な言いぶりだった。(高田寛、星野真三雄)
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■ 消費税引き上げ 首相発言には一貫性が必要だ(7月3日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20100703-OYT1T00130.htm
消費税増税をめぐる菅首相の発言が、揺れ動いている。民主党内からは首相の方針を公然と批判する声もある。
これでは有権者は戸惑ってしまう。首相と民主党は、消費税に関する党の見解をしっかりと整理し、国民に示すべきである。
首相は当初、「10%」への消費税率引き上げ検討を「公約」と明言していた。その後、公約は「超党派協議を呼びかけるところまで」と軌道修正した。
消費税増税によって低所得者の負担が過重になるとされる逆進性の問題への対策として、還付制度の導入も表明した。だが、対象世帯の所得水準について、首相の発言は、年収200万円から400万円の幅でくるくる変わった。
年収400万円未満の世帯は全世帯の半数近くに達する。そんな広い範囲で還付を実施すれば、税収増の効果が失われるうえ、税負担の公平性も損なわれる。
仙谷官房長官は「議論の材料」を提供しただけと説明するが、首相の発言は重い。十分な議論の裏付けもないまま、腰だめの数字を軽々に口にされても困る。
そもそも首相は、税制改革全体のビジョンをいまだに明らかにしていない。なぜ、10%なのか。増収分は何に使うのか。そんな基本的なこともはっきりしない。
野党は、民主党のバラマキ政策が維持されれば、そちらに増収分が回ると批判している。これにもしっかり答える必要がある。
さらに見過ごせないのが、民主党内の不協和音だ。
小沢一郎・前幹事長は「昨年の衆院選で、4年間は消費税は上げないと言ってきた。約束はやり遂げるべきだ」などと、執行部の方針を真っ向から批判している。
政権党として、国の根幹にかかわる税財政問題での党内不一致を放置してはなるまい。
消費税増税は、歴代政権が避けてきたテーマだ。社会保障財源の確保と財政悪化への危機感から、首相が増税に言及し、国民に負担の分かち合いを求めたことを評価する有権者は、少なくない。
その肝心の首相が、発言をぐらつかせては、消費税率引き上げを目指す首相の決意に疑問符がつきかねない。
1998年の参院選で、当時の橋本首相が、恒久減税に関する発言を二転三転させ、それが有権者の不信を招いて、自民党惨敗につながった例もある。
首相に求められるのは、発言の一貫性である。
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