東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けてエネルギー政策の見直しを進めているドイツのメルケル首相は15日、「原発をできるだけ早く廃止したい」と述べて、原発の稼働期間の延長を柱とした、みずからのエネルギー政策を改める意向を示しました。
ドイツのメルケル首相は、去年秋、国内にある原発17基の運転を平均で12年間延長する方針を決めましたが、福島第一原発の事故を受けて、この決定を3か月間凍結し、原発を含めたエネルギー政策の見直しを行っています。15日には、16すべての州の首相や関係閣僚を集めて、エネルギー政策について協議を行いました。このあとメルケル首相は記者会見し、「われわれはできるだけ早く原発を廃止して再生可能エネルギーに移行したい」と述べ、原発の稼働延長を柱としたみずからの政策を転換する意向を示しました。そのうえで、風力や太陽光などの再生可能エネルギーの普及に向けた議論を加速させる方針を示しました。ドイツでは9年前、前の政権のもと、原発の運転を2022年ごろまでに、すべて停止するとした「脱原発法」が制定されたのに対し、メルケル政権は、代替エネルギーの普及が追いついていないなど として 原発の 稼働 延長 に大きくかじを切ったばかりでした。
朝日新聞社の全国定例世論調査(電話)によると、
東日本大震災への菅内閣の対応を「評価する」と答えた人は22%にとどまり、
「評価しない」が60%に上った。
福島第一原発事故への対応に限ると「評価する」16%、
「評価しない」67%となり、さらに厳しい視線が注がれている。
原発事故についての政府の情報提供が「適切だ」は16%で、
「適切ではない」が73%に達している。
対応への低い評価の背景の一つになっているようだ。
一方、民主党と自民党の大連立政権に対しては「賛成」43%、「反対」37%と比較的接近した。「賛成」が民主支持層では55%だったのに比べ、自民支持層では35%にとどまり、それぞれの党の事情を反映する形になった。
菅内閣の支持率は21%(前回2月19、20日は20%)、不支持率は60%(同62%)でともにほぼ横ばいだった。菅首相の進退については「早くやめてほしい」43%(同49%)が「続けてほしい」36%(同30%)を上回っているが、前回に比べると続投支持が少し増えている。
「仮にいま衆院選の投票をするとしたら」として聞いた比例区の投票先は、民主18%(同19%)、自民30%(同25%)などで、民主の低迷が続いている。昨年12月調査で逆転された自民との差はさらに広がった。政党支持率は民主17%(同19%)、自民19%(同18%)などだった。
朝日新聞社が16、17日に実施した全国定例世論調査(電話)で
原子力発電の今後について聞いたところ、
「減らす方がよい」と「やめるべきだ」が計41%だった。
東日本大震災の復興財源にあてるための増税については
「賛成」59%が「反対」31%を上回った。
原子力発電は今後
「原子力発電は今後どうしたらよいか」という質問で四つの選択肢から選んでもらうと、
「増やす方がよい」5%、
「現状程度にとどめる」51%、
「減らす方がよい」30%、
「やめるべきだ」11%。
日本は電力の3割を原子力発電でまかなっていると紹介したうえで同様の質問をした2007年の調査では、「増やす」13%、「現状程度」53%、「減らす」21%、「やめる」7%で、「減らす」と「やめる」の合計が28%にとどまっていた。
原子力発電の利用の賛否は
「賛成」50%、「反対」32%。
「反対」の層でも、原子力発電の今後について20%が「現状程度にとどめる」と答えた。
男女別では、男性で「賛成」62%、「反対」27%だったのに対し、
女性では38%対37%でほぼ並んだ。
福島第一原発の事故に対しては、「大いに」56%、「ある程度」33%の合わせて89%が「不安を感じている」と答えた。他の原発で大きな事故が起きる不安については、「大いに感じる」が50%、「ある程度感じる」が38%。「大いに感じる」と答えた人のなかでは、原子力発電を今後、「減らす」「やめる」と答えた人の合計が55%と高い。
復興財源のための増税に賛成する意見は、民主支持層で66%と高かったが、無党派層で59%、自民支持層でも53%に上った。
復興の主な財源として増税と国債のどちらがよいか尋ねると、「増税」48%、「国債」25%だった。
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日本産輸入規制 広がる風評被害乗り越えよう(4月24日付・読売社説)
福島第一原子力発電所の事故による放射能汚染を警戒し、日本の農産品だけでなく、工業品の輸入を規制する動きが海外で広がっている。
極めて遺憾な事態である。
政府と東京電力は、正確な情報を迅速に発信し、風評被害の拡大を防がねばならない。
規制が過剰な場合には、政府は是正や撤回を求めるべきだろう。
中国や韓国など約30か国・地域が、福島第一原発周辺で生産された農産品の輸入を停止したり、一部を輸入制限したりしている。中東では、日本全国からの食品の輸入を停止する極端な例もある。
さらに問題なのは、主要輸出品である自動車や電子機器などの工業品についても、約10か国・地域が輸入規制を導入したことだ。
イタリアや台湾は工業品の放射線量をサンプル調査し、米国などは日本からの船舶の検査を実施している。ベルギーは日本車を、香港は薬や化粧品まで放射線量検査の対象にした。
規制で輸入が停止する事例は起きていないが、今後、通関の遅れや企業の売り上げ減少につながる恐れがある。規制導入国はさらに増えかねず、看過できない。
重要なのは、政府が積極的に行動することである。
政府は世界貿易機関(WTO)や主要20か国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議などで、諸外国に冷静な対応を要請したが、まだ不十分ではないか。
在外公館や各国の在京大使館を通じて働きかけ、日本製品の安全性をアピールし、諸外国の誤解を解くべきだ。
とはいえ、日本自動車工業会は各社が輸出車両の放射線量を独自に計測するルールを決めた。電機業界などでも、自主的に放射線を測定したり、専門機関に測定してもらったりしている。
全国の商工会議所は、製品の輸出時に生産地周辺の放射線量を記入する証明書を発行するサービスを始めた。
これまでのところ、自然界の放射線量を超えるような数値は検出されていない。だが、海外の過剰反応に、産業界が苦慮している様子がうかがえる。
放射線の測定で負担を強いられる中小企業などを支援するため、政府は測定費用を補助すべきだ。自治体などと連携した相談窓口の充実も欠かせない。
輸出拡大をテコにした日本の成長戦略は重要である。メード・イン・ジャパンの信頼を回復し、輸出を早期に正常化させたい。