2010年は相続税ゼロが話題化。 アメリカはゼロへ。日本はアップ検討中

2009.12.13 記事


前回の記事、「遺産が6000万円以下は税金なし。 日本では死者の4%に相続税」で、相続税に96%の人は無関心かも…と書きましたが、実は、2010年には相続税への関心が一時的に高まるかもしれません。 

というのも、アメリカでは、1年だけ相続税をゼロにするという「ブッシュ・プラン」が発動していて、2010年が相続税ゼロの年になるからです。 
アメリカの株価が堅調なのは、2010年の相続税ゼロ効果を織り込んでいるのかもしれません。


■ 景気浮揚・三つの大改革    大前研一  Voice+ ボイスプラス

アメリカは、かつて60%だった相続税を、2001年から段階的に下げている。現在は45%、2010年にはゼロにする予定だ。その後、また次第に増やしていくという。1年だけ相続税をゼロにするというこの「ブッシュ・プラン」が、じつは不況に苦しむアメリカの救世主となるかもしれない。 というのは、多くの金持ちが息を潜めて2010年を待っているからだ。あと1年半すれば大量の資金がニーズのある若い世代に移り、アメリカは盆と正月が一緒に来たような好景気を迎える可能性があるからだ。住宅産業や自動車産業などが、一気に復活するかもしれない。オバマがこの施策を修正しなければ、の話ではあるが。

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そして、日本ですが、「政府税調、相続税の強化検討 租税特別措置で査定案 2009.11.16 日経」ということで、これも実現すれば相続税への関心が高まることにつながります。 

現在、「日本では死者の4%に相続税」を、25%程度まで上げてくれれば、相当に相続税への関心が生まれるのではないかと思います。


まずは、世の中に関心がないと始まりません。

困る人や、改革を求める人が多いと、初めて、幸福実現党の「相続税ゼロで好景気に」公約の支持層が生まれるのだと思います。


そして、日本は幸せだと思います。
相続税ゼロで手本となるアメリカの政策が、2010年に示されるのです。

また、日本の民主党は、相続税を上げたがっています。
ひょっとしたら、相続税アップで、悩みを体験する人の数が急増するかもしれません。

意志さえあれば、制度は、すぐにつくり変えれます。
一時期の制度の改悪は、よくなっていくための必要な段階ということでもあるのだと思います。

日本は、幸運です!



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■ 相続税 wiki

スイスには国税としての相続税(直系卑属や配偶者に対するもの)がなく、一部の州の州税としてあるのみである。このためスイスは世界中から財産を集め、また多くの文化財の散逸を防いだとも言われている。また香港では2006年2月から相続税が廃止されている。 
その他、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、スウェーデン、イタリア、マレーシア、シンガポール、など相続税が廃止された国は多い。廃止の理由としては事業の承継の妨げになるという批判、家庭への国家の介入は最小限にすべきという考え。







 記事のリンク切れに備えて

■ 景気浮揚・三つの大改革  大前研一  Voice+ ボイスプラス

 このまま行ったら長期衰退

 世界を襲った未曾有のサブプライム危機について、日本はまだ直接的な影響を受けていない。逆に日本企業による海外企業の買収が活発化しているほどだ。しかし、この状況が長く続くことはないだろう。アメリカの実体経済、とくに自動車産業や小売業の状況がここまで悪化すると、中国経済がダメになる。中国の経済成長を牽引していたのは、アメリカに対する輸出であったからだ。広東省などアメリカ依存の強いところが落ち込めば、中国は内需にシフトする。一方で中国に鉄鋼や工作機械などを輸出することで日本は伸びてきた。すでにこれらの分野では急速な落ち込みが始まっており、間もなく各産業に波及するだろう。

 小泉構造改革で日本経済が立ち直ったと勘違いしている人もいるが、「いざなぎ景気」を超えるといわれた2002年からの景気回復の原因は中国特需、あるいは新興国特需であった。一皮むけば、日本の産業はバブル崩壊後に陥った構造不況から脱しきれておらず、長期衰退傾向に変化はなかったのである。
 
バブル崩壊後、日本経済は奈落の底に入った。このとき政府や官僚がとった手段はすべて間違っていた。当時とられた手段は次のようなものだ。

 まず1つは財政投融資の活用で、100兆円近い金が公共投資に使われた。だが変動相場制の下で財投に効果がないことは、経済学の教科書にも書かれている常識である。2つ目は低金利政策で、世界史にも前例のないゼロ金利を続けた。3つ目はマネーサプライを増やし、市場のお金をジャブジャブにした。マクロエコノミーで使える3つの道具を使いきったが、いずれも効果をもたらさなかった。

 その政府や官僚はいま何をしようとしているか。国民全員に1万2000円を配るという、見掛けだけの政策をとろうとしているのだ。もっとも国民は白けていて、6割がこの政策を「支持しない」と表明している。これが選挙対策の薄っぺらなものであることを国民は見抜いているのである。

 このまま行ったら日本経済はどうなるか、とよく聞かれるが、その問いはうだつの上がらない35歳の会社員に対する「このまま行ったらあなたはどうなるか」という質問と同じだろう。おそらくその会社員は5歳年上の先輩を指差し、「あんなふうになるんじゃないでしょうか」と答えるだけだ。政治の疲弊、硬直した中央集権体制を打破しなければ、この国が長期衰退傾向をたどることは自明の理であろう。麻生総理は医師が「常識がない」種族だと区分したが、官僚や政治家がどのように区分されているのか彼の判断が聞きたいところだ。

 オバマは環境戦争を始める

 私はいま2つのシナリオを考えている。これから日本経済が回復するためには、この2つしかおそらく方法はない。1つ目のシナリオはこれまでと同じように状況に乗って回復する、というストーリーだ。具体的にはこれからアメリカがどう動くか、という部分が大きい。

 今回の大統領選で、アメリカは世界に対して明確なシグナルを送った。金融危機という激流の真っ只中で、怯えきって縮こまるのではなく、船を乗り換えるという意思表示をし、アメリカが変わりうる国であることを示したのである。オバマ大統領の誕生によって、アメリカの問題ある部分は一掃され、新しいアメリカが生まれてくるだろう。


オバマはどのような景気浮揚策をとるだろうか。じつは過去100年を見るかぎり、景気浮揚の方法は2つしかない。1つはフランクリン・ルーズベルトが行なったような公共投資を中心とするニューディール政策、もう1つが戦争である。オバマはどちらを選ぶのか。おそらく戦争だと思う。

 ただし、これはいままでの戦争とまったく違う。選挙期間中の彼のスピーチを総合すると、こんなメッセージが見えてくる。「われわれは戦争を選ぶ。相手は地球環境を破壊する人類共通の敵である。もはや各国で敵・味方に分かれて争っている場合ではない。人類が一丸となって、地球破壊者と戦うべきだ」。ブッシュの「テロとの戦い」は悪の枢軸など不必要な人類社会の分断を前面に打ち出していた。世界はその考え方の下に紅組と白組に分かれて戦い、決着が付かないまま多くの命が失われた。ブッシュの最終年度である2008年にはウォール街発の「金融テロ」に世界中が悩まされることになり、結果、アメリカの指導力は著しく後退した。オバマはこれに対して地球規模の連帯を呼び掛け、環境破壊者に対する全面戦争にとりかかる、と宣言するだろう。

 この戦いのメリットは「恐ろしく効率が悪い」ということだ。効率の悪いものほど経済効果は大きい。世界中すべての民族が手を取り合って地球破壊者と戦うなかで、「CO2を排出しない発電所をつくろう」「半分のエネルギーで動く自動車をつくろう」など、さまざまな動きが起こるだろう。中国やアメリカ、ドイツの炭鉱を閉じて、新しいエネルギーを使おうという議論になるかもしれない。そうなれば太陽の光電変換が主力となり、原子力の復活も議論されるだろう。 1000メガワットクラスの原子炉が200基ほど必要になる。そこから生み出される経済浮揚効果は計り知れない。

 人類はその戦いで興奮するだろう。それをリードすることで、アメリカは再びリーダーシップをとる可能性がある。オバマは選挙期間中に1度だけ、「京都議定書は甘い」と述べた。すでに2020年までに温暖化ガスの排出量を1990年の水準まで削減する中期目標を設定し、年ごとの厳格な削減目標を設け、 2020年以降は2050年までに温暖化ガスをさらに80%削減するという長期目標を示しているが、これを本気でやるとなれば、途方もない投資が必要となる。潘基文国連事務総長の言葉を借りれば、「ニュー・ニューディール政策」といってもよいだろう。そのプロセスのなかで国連とも関係を修復するに違いない。

 そうなれば、いよいよ日本のチャンスである。原子力発電にせよ太陽光発電にせよ、日本技術の強みがフルに生かされる。また1970年代以降、日本は鉄鋼業をはじめ、CO2を閉じ込める技術を開発してきたが、この技術を東欧社会や中国、インドが必要としている。排煙脱硫・脱硝技術でも人後に落ちないし、省エネ車でも世界の優位にある。テロとの戦いでは何も協力できず、インド洋で“石油スタンド”をやっただけだったが、日本にとって新しい戦いは、きわめて有利に進むだろう。そのなかで日本産業は活気づき、経済は回復基調に乗る。これが1つ目のシナリオである。

 眠れる1500兆円を市場に誘い出す

とはいえ第1のシナリオは、いわば他人のフンドシで相撲をとるようなものだ。日本自身が景気浮揚のため、自ら舵を切るということが2つ目のシナリオで、具体的には3つの大改革が考えられる。

繰り返しになるが、いまの日本は長期衰退に入っている。これを本当に変えるには、まず自分が変わらねばならない。経営の世界と同じでほんとうに会社を立て直そうとすれば、これまでの延長線上ではなく、新機軸を示し、重心を完全に移し替えなければならないのだ。このとき重要なのは、いちばん効果の高いところを狙う、いわばテコの原理を使うことである。

その第1は、個人の金融資産を高齢者から若者に移すことである。日本の最大の問題は1500兆円の個人金融資産がありながら、それがマーケットに出てこないことだ。そのために需要が生まれず、GDPも増えない。1500兆円の1%でも15兆円だから、これだけで麻生内閣が配ろうとしている2兆円の7倍以上の経済効果をもつ。

マーケットに1500兆円が出ないのは、お金をもっている人が高齢者ばかりだからだ。彼らは国を信用していないから、「いざというとき」に備えて、その金額は貯金に回される。年金をもらっても、そこから3割を貯蓄に向けるという世界一変わった国民なのだ。日本の高齢者は、墓場に行くとき1人平均 3500 万円もの大金を持って行く。

そんな老人に少しインセンティブを与えて、「消費税を払わなくていいから、お金を使ってください」といったところで、消費に向かうことはないだろう。従来の延長線上にはない、まったく新しい方策が必要とされているのだ。それは相続税の廃止である。

いま世界では相続税のない国が増えている。
スイス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、スウェーデン、イタリア、マレーシア、パラオといった国々である。
目下、相続税の廃止を検討している国はイギリス、フランス、ドイツなどである。
EUでは税率の低い国に移住してしまう人たちが増えているので、税率をシンクロナイズ(同期)しないと国家は被課税体そのものに逃げられる危険性があるからだ。

アメリカは、かつて60%だった相続税を、2001年から段階的に下げている。
現在は45%、2010年にはゼロにする予定だ。その後、また次第に増やしていくという。1年だけ相続税をゼロにするというこの「ブッシュ・プラン」が、じつは不況に苦しむアメリカの救世主となるかもしれない。


というのは、多くの金持ちが息を潜めて2010年を待っているからだ。
あと1年半すれば大量の資金がニーズのある若い世代に移り、アメリカは盆と正月が一緒に来たような好景気を迎える可能性があるからだ。住宅産業や自動車産業などが、一気に復活するかもしれない。オバマがこの施策を修正しなければ、の話ではあるが。

日本もこのような案を導入する以外、眠れる個人金融資産を市場に誘い出す方法はない。数年後の1年間、または2年間だけ相続にかかる税をゼロにする。そうして1500兆円の大半を占める高齢者の資産が若い世代に移るようにする。これに“朝日新聞的”な人たちは、「金持ち優遇」と反対するだろう。しかしこの国の構造的問題は、1500兆円という大金をニーズのない人たちがもっていることにある。このお金を国債として国が吸収し、無駄遣いをしている悪循環を打破するのだ。

さらには刀狩りと同じように、この期間に申告したら、いままで税金を払わず隠していたタンス預金や海外の預金を不問に付す。これはプーチンが大統領になって2001年に行なった政策で、彼は税金を30%から13%に下げた。13%のフラットタックスなら正直に申告しても87%は手元に残るから、ロシアの地下経済が一挙に地上に出てきて、結局ロシアの税収は25%増えたのである。日本の相続税収は全体の3%でわずか1兆5000億円程度である。この税収のために1500兆円がフリーズしているのが現実なのだ。

 さらにはそのとき相続だけでなく、贈与もゼロにするとよい。
相続する相手のない人は、学校にでも何にでも寄付をする。これでニーズのある人たちにお金が回り、日本経済は一気に好転する。

 しかし、若者に財産をすべて渡すことに不安を感じる高齢者もいるだろう。
これについては、死亡時の相続にかかる基礎控除を1億円程度にすればよい。いま死亡時の相続税の基礎控除は5000万円である。税金をゼロにするには5000万円残すのがベストだが、それでは心配という人もいる。基礎控除が1億円になれば、高齢者は残った分を全部手放すだろう。そうすれば1500兆円は一気に動きだす。

 この効果をさらに高めるためには金融資産だけでなく、不動産などの資産も含めるとよい。住宅などの相続もその期間に行なってしまえば、若い人はそれを担保に資金を借りて自分の家を建てるようなこともできる。親が死んだときに、それを処分して返せば借金はゼロとなる。いまでも生前贈与・相続の制度はあるが、これは本人が死亡したときに相続税を払わなくてはならない。限界税率が70%にもなるので、「おじいちゃんが亡くなったときの備えとして」お金を取っておかねばならない。つまり、この縛りがあるために早めに相続しても消費に回らないのである。


東京をマンハッタン化せよ

第2は、21世紀にふさわしい都市づくりを行なうということだ。この国は西欧各国が100年以上前に完成させた都市づくりを成し遂げていない。その結果、用地買収などの容易な遠隔地ばかりにお金が行き、都市部に回らない弊害が起こっている。これを思い切って変えるのだ。

従来、都会で都市づくりを行なおうとすると、まず住民の反対があった。さらには日照権の問題をはじめ、クリアしなければいけない壁に山ほど行き当たった。六本木ヒルズは計画から完成まで17年を要したのである。

向こう20年は、そうした問題をすべて棚上げにする。住民の半分が合意したときは、一気に事を進めてしまう。都市再生のために制定された都市再生法を使えば、不可能なことではない。このとき重要なのは、目標をはっきりさせることだ。オバマの「地球破壊者との戦い」と同じように、「われわれは21世紀の安全で安心して生活できる都市をつくる」と宣言するのである。

まずフランスが200年前、イギリスが150年前、アメリカが100年前から行なっているように、電線や上下水道など公共施設の地下埋設を進める。都会の真ん中を電線が走っている先進国は日本だけだ。またゼロメートル地帯の軟弱地盤を改造し、地震時における液状化を防ぐための土質改良を行なう。さらには災害時に消防車が入れないような密集地帯について、区画整理を行なって集約化する。地区ごとに1カ月分の食料備蓄を行ない、非常用の発電セットも置く。これらをすべて整えたものを、まずは基礎としてつくりあげる。

そのうえで、容積率を現在のような600%や800%といった恣意的なものでなく、安全基準だけで決める。すでに大阪の中之島には1600%という土地があるくらいで、多くの土地は1400%ぐらいになるはずだ。

そうなれば、依然として低層住宅の密集する東京の下町地域ならば5倍の人が住めるようになる。いま東京のフロアの高さは、山手線の内側でさえも平均 2.6階しかない。パリは副都心以外、高層ビルは禁止されているが、それでも平均6階ある。200年前につくられた都市でも、いまの東京よりはるかに高いのだ。その結果、400%の人口流入が可能になるだろう。しかもそれだけ大規模に行なえば建設コストも下がるから、その人たちは通勤20分程度の良質な住宅に廉価で住めることになる。

これは東京がマンハッタン化するということだ。これまでの公共事業に比べれば20年はかかるだろうが、結果的に光ファイバーがそこかしこに引き巡らされ、安全性が高く、地震にも強い、超近代的な21世紀型の都市が出来上がる。地表のスペースにはニューヨークのセントラルパークのように、広い公園をふんだんにつくってもいい。

この都市づくりに、われわれがお金を払う必要はない。地盤だけは公共工事として債券を発行して行なうが、上層部分は民間で十分資金が集まる。容積率を高くすれば利回りは4~5%はいくだろう。地盤工事以外のところは民間も喜んでやるだろうし、世界中から金が集まってくる。東京などの大都会では金もニーズもあるからだ。これを東京の下町でモデルケースとして行ない、次第に日本の大都市すべてに拡げていく。税金を使わず、世界の金を呼び込むことで、この「21世紀の都市改造計画」は爆発的な景気浮揚を呼び込むだろう。


「戦略事業単位」としての道州制

第3は、私が20年前から提言してきた統治機構の改革、すなわち道州制への移行である。日本を11の道州に分け、繁栄の単位を「国」から「地域」に変える。これは江戸時代以降400年にわたって続いてきた中央集権に対する明確なアンチテーゼである。

中央集権国家である日本は、これまでつねに1つの答えを求めてきた。たとえば麻生プランが1つあって、それに国民はイエスかノーという。しかし北海道から沖縄まで、住民のニーズは千差万別だ。そのすべてを聞いて最大公約数を求めれば、結局中途半端な結論にしかならない。11の道州という単位で最小公倍数を求める、より矛盾の少ない政治体制をとるべきなのだ。

 そもそも四国1つとっても、その経済規模はフィンランドに匹敵している。首都圏ともなれば、フランスやイギリスに並ぶほどだ。国としても十分やっていける単位なのに、霞が関の一言一句で生殺与奪の権限を握られ、お金を恵んでもらうだけで何もできない。

 しかしそもそも国境なきボーダレス経済のなかで、九州と北海道がとるべき将来戦略は明らかに違う。各道州に裁量をもたせ、自ら考えさせる。とくに立法権と徴税権について、かなりの権限を中央から移譲する。そうすれば、まったく違った日本になる。

 たとえば北海道なら、極東シベリア開発の最前線基地になるだろう。時差を設けて札幌に取引市場をつくり、世界でいちばん最初に開く市場をつくれば面白い。そうなれば各道州は自らの将来を東京に託すのではなく、世界地図と照らし合わせてつくっていこうとするだろう。中学や高校で教える外国語も英語に限らず、北海道ならロシア語、九州なら中国語や韓国語としてもいい。四国は英語を磨いてフィンランドやデンマークのような多国籍企業の母国となる道を選ぶかもしれない。そうやって近隣諸国と緊密な関係をつくりあげていけば、企業も、人も、お金も、情報も集まるようになる。結果的に各道州の経済は活性化し、パイは大きくなるだろう。すべてが幕の内弁当のようにワンセット何でももっていなくてはいけない、という中央集権と地方分権、という考え方ではなく、自立した経済単位、世界から繁栄を呼び込む単位、としての道州なのである。

 しかしこのような発想を、政治家や官僚は理解していない。国家レベルで道州制の議論はかなり進んできたが、彼らは打ち切りが検討されている「平成の大合併」の次に来るものとそれを位置づけている。国の出先機関と地方機関が重なっているのは効率が悪い。その重複を排除すれば、たとえば北海道では3000億円が節約できる……。これが彼らの道州制観だ。要はコストダウンのための効率性の議論、中央からの受け皿の集約、という議論で、これでは国を大改革する、という話にはならない。

 私のいう道州制は、国家の統治機構を根本から変える、ということだ。必要な立法、徴税、行政の単位を自らつくりあげ、世界経済を呼び込むための「戦略事業単位」を確立する。それを地域国家として運営するのである。もちろん失敗すれば滅びるが、成功したり、失敗したりする自由度そのものを与える。

 とはいえ失敗して滅びても、それはそれで悪くない。アダム・スミスのいう見えざる手が働いて、滅びたために地域の特徴が出る場合もある。たとえばアメリカのモンタナ州やバーモント州には普段足を運ぶ人は少ないが、夏になるとその静けさを求めて、大都会のビジネスマンたちがやって来る。彼らがフライフィッシングなどの暮らしを楽しむことで、『マディソン郡の橋』のようにその地域は潤っているのだ。日本は「均衡ある国土の発展」を行なったため、どこに行っても同じ風景が並んでいるが、そういう観光資源を売りにしてお客を呼び込む地域があってもよい。

 実際にいま、外国人観光客にいちばん人気があるのは、日光、箱根、京都、奈良といった有名どころでなく、岐阜の高山である。また私の山の家がある長野周辺を見ると、夏、賑わっているのは、木曽路の馬籠や妻籠、そして小布施である。その特徴はすべて「江戸時代が残っている」ところで、「憩い」のなくなったいま、ノスタルジアを求めて観光客がやって来るのだ。

 いま海外からやって来る人は、この国に4つのものを求めている。
1つ目は秋葉原のサブカルチャー、2つ目は日本食、3つ目は古い日本、そして4つ目は雪。
秋葉原のサブカルチャーはドロップアウト組がつくったもの、日本食や古きよき日本、そして雪はこの国に昔からあったものだ。つまり「均衡ある国土の発展」やリゾート法でつくられたような人工的なものではなく、ドロップアウトしたもの、昔からあるものばかりが人気の的なのである。

 これらの観光資源も日本が道州制になれば、その魅力を大きく増すだろう。世界を見渡したうえで、自分たちを魅力的に見せるには、自然を残したほうがよいか、ハイテク工業団地をつくったほうがよいかという選択もまた、各道州に委ねられるからだ。中央集権で、「青森にこれを認めたら、山形にも認めないわけにはいかない」といったやり方では、国土を破壊し尽くし、日本中が金太郎飴になるだけである。


チャンスを生かすには意志がいる

 何度もいうが、以上の3つはいずれも従来の延長線上にない、抜本的変革を伴うものである。それだけの大改革をやる勇気があるか、さらにはそれを指導するビジョナリー・リーダーが現れるかどうか。それによって5年後、10年後にこの国が繁栄できるかどうかが決まる。これから世界経済はますますスローダウンするだろうから、そういう意味でも焦る必要はない。日本はここで提案した3つのビジョンを実現する手段をすべて手の内にもっている。世界から、あるいは子孫から、借金してやる必要はないのだ。つまり、やる気になったらできる、というところが日本の底力なのである。いまこそ千載一遇のチャンスと考え、電卓でいえばACボタンを押して、過去の延長線上にあるすべてを1度オールクリアにするのだ。

 そのポイントは、若い人の意識が変わることだろう。
いま日本人の平均年齢は49歳だが、そこまで高齢化してしまうと、通常は絶対に改革を選ばない。会社に置き換えて考えればわかるのではないか。従業員の平均年齢が50歳の会社は、社長以下、皆が「変わろう」と毎朝唱和しても、絶対に変化しない。あと15 年で逃げ込める現状維持派が圧倒的に多いのだから当然で、ある日突然、若者が革命を起こすぐらいでなければ、この国を改革することはできない。

 チャンスを生かすには、人々が興奮するビジョンと指導者の強い意志がいる。
さらには官民挙げてのタイムリーな行動が要る。それがなければ何度チャンスが回ってきても失敗してしまう。私はこれを「平成維新」と呼び、15年前から呼び掛けを始めたが、いまだに芳しい反応は得られていない。要は若者に「この国を変えよう」と呼び掛けても反応が薄いのだ。この現状をどう変えるか。これが最大の課題だろう。


 アメリカを見るがよい。今回、オバマを選んだアメリカの若者たちは、大変なエネルギーを発揮した。フェイスブックというSNSで80万人が登録してボランティア的にオバマを応援し、現状維持派のマケインを破った。アメリカを変えようという動きが一大旋風になったのである。日本では2兆円のばらまき方をめぐって甲論乙駁。その次元の低さは国民の大多数がさすがにうんざり、という状況である。民主党も政局を仕掛けるだけでまっとうな政策論争の土壌すらまだ成立していない。しかし世界が混迷の度合いを深めるなか、金融危機先進国としての日本はこれ以上落ち込む心配はない。資金も十分に蓄えられている。無いのは将来ビジョンと指導者、ということになる。この国のかたちが大きく変わる可能性が見えているいまこそ、若者が自分たちの将来を賭けて真剣に議論を開始するときだ。









大前研一さんの、マネー力 (PHPビジネス新書)にあるこの論文は、月刊誌voiceのHPで読めます。

ただ、これだけのアイデアが豊富にある人を、どこか既存の政党が登用したとは聞きません。
新しい考え、斬新な考えは、古い考え主体の政党には、入らないもの、入れられないものなのでしょう。



  ■ マルコ福音書 2章 21-22節

だれも、織りたての布から布切れを取って、古い服に継ぎを当てたりはしない。
そんなことをすれば、新しい布切れが古い服を引き裂き、破れはいっそうひどくなる。

また、だれも、新しいぶどう酒を古い革袋に入れたりはしない。
そんなことをすれば、ぶどう酒は革袋を破り、ぶどう酒も革袋もだめになる。
新しいぶどう酒は、新しい革袋に入れるものだ。





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   『Nature_Mystery_2culm
■ テンプ(金字桜): Chakoさん
   『beige_sakura-black
   『beige_sakura-white
■ テンプ(清楚な台所): meecoroさん
   『 kitchen01・02 』
   『gohan』 『beach』 『simple02』
■ テンプ(さくら): 杏さん
   『 anzu-tp2_13
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